税務経営情報 Vol.219
~神様は恥ずかしがりや?~
9月15日やわたのはちまんさんこと石清水八幡宮で、「石清水祭」がありました。石清水祭は、日本三大勅祭の一つです。父と私はなんと祭りに参加させていただきました。参加というより「奉仕」というそうですが・・。まず、私は「勅祭(ちょくさい)って何?」から始まりました。恥ずかしながら京都にいてそんなことも知りませんでした。「勅祭」とは、天皇陛下のお使いである勅使が直々に天皇陛下からのお供え物(幣帛)をお供えに参向される祭典のことで、石清水祭は京都の葵祭と奈良の春日祭と共に三大勅祭の一つに数えられているそうです(知らなかった!)。
祭りの流れとしては、午前2時に御鳳輦(ごほうれん)(神輿のことをいうそうです)3基に3座の神霊を奉遷(ほうせん)(神様を御鳳輦に移すこと)する儀式よりはじまり、そして同3時に御本殿を出発して、約500人のお供を連れて山麓へと下り、いわゆる現世で奉幣祭がおこなわれ、夕刻山上へと還幸になります。
500人ぐらいのお供を連れてとありましたがそんなに人がいるものかと高を括っていましたが、まず神主さんの多いこと多いこと、また巫女さんや御鳳輦を担ぐ人やら、夜なので夜道を照らすちょうちんを持つ人など、全部把握できないくらいのたくさんの方々によって成り立っているお祭りでした。
さて私たちは15日当日、というより14日の夜12時に山頂に集合して、次に神職のような黄色い衣装に着替えます。私たちの役目は、御鳳輦の前後にある御綱を引っ張る役目です。役割的には、おそらく末端の役割だと思います。しかし御鳳輦が出発するときには、御鳳輦の前部にある御綱を担いでいたので先頭でした。私の役的にはあまり重要ではないのでしょうが、御鳳輦に神様が乗っておられるので見物客の方はそのお姿を写真と取ろうとフラッシュをたかれるので、おそらくいやでも一緒に写ってしまっているでしょうと内心にやり。山道にはいると見物客が減ってくるので、御奉仕の方々はすこし俗世のお話をしながら下山。後ろの御鳳輦の中に神様がいらっしゃるにもかかわらず・・。
下に着くとまた見物客が多くなり、神様を一目見ようと行列に向かってフラッシュをたいたり、御鳳輦に向かって拝みだす方が増えだします。そして神様は、御鳳輦から頓宮(とんぐう)(仮の宮殿)にうつる儀式があります。その間こちらは徹夜中で肉体労働のため、意識が朦朧としてきます。近くには神様がいらっしゃるのに・・・。
午前5時ごろ儀式が終わり、とりあえず一度解散です。そのころには雨が降り出しており、衣装や足袋、藁草履がべとべと。
そして、午後4時ごろちょっと湿った衣装を着て再び集合します。今度は、神様は再び御鳳輦にのられて山上へもどられます。それも日が欠けてあたりが真っ暗になってからです。またもや私たちは同じ役で、御綱を引っ張り登ります。今回は登りのため御綱を引っ張るだけでも結構疲れました。山上へついて肩で息をしていても、見物客の方々はそんなこと知る由もなく、またありがたやありがたやと拝まれます。こちらは、ずっと神様と一番近くに一緒にいるのに、ありがたい気持ちが少なかったように感じました。しかし今回は父と二人きりで参加したのですが、ふと思い返してみると子供の時から二人きりでこれだけ長い時間一緒にいて何かをしたことがなかったような気がしました。いろいろ話ができ、それはそれでよかったのではないでしょうかね。そして最後は二人で足洗いと称して、飲みに行きました。
当初お祭りなので、もっと賑やかで熱いものと思っていましたが、深夜に神様がひっそりと御本殿から下山されて、一日中俗世で遊ばれて、そして夜に暗くなってからまたひっそりと戻られるような感じを受けました。神様もたまには遊びたかったのかもしれませんね(本当は違うのかもしれませんが)。
(岡 本 清 臣)
~裁判員制度~
Ⅰ 刑事裁判に関する基礎知識編
≪コラム≫ 裁判における審理の在り方
~見て,聞いて,分かる裁判~
裁判所,検察庁,弁護士会は,裁判員が法廷での審理を「見て,聞いて」
分かるような裁判を実現するために,裁判員制度の実施に先立って,全国各
地で合計600回以上,模擬の裁判員裁判を繰り返してきました。そうした
検討の結果,裁判員裁判では,次のような審理が行われることになります。
❖ ❖ ❖
検察官,弁護人とも,審理に当たって裁判員に着目してもらいたいポイント
を,端的に示すことになります。
裁判員裁判では,審理に先立って,公判前整理手続で事案の真相解明に必要
な争点と証拠を整理しますが,そこで整理されたところに基づいて,検察官,
弁護人は,「冒頭陳述」で,①争点に関する双方の主張と②主張を立証するた
めの証拠を,分かりやすく簡潔に提示します。
「冒頭陳述」に際しては,プレゼンテーションソフトを用いて要点をわかり
やすく説明したり,法廷内のディスプレイを用いて,事件現場の状況等を示す
など,視覚的にも分かりやすい工夫がされます。
❖ ❖ ❖
個々の証拠の取調べに当たっては,これまでの裁判よりも,証人が活用され
る場合が多くなります。実際に事件を見聞きするなどした人に,目の前で語っ
てもらうことが分かりやすいと考えられるからです。
もちろん,これまでの裁判と同じく証拠書類も取り調べられますが,証拠書
類は法廷での朗読によって裁判員に分かってもらえるよう,簡にして要を得た
ものになります。裁判員が大量の証拠書類を読む必要はありません。
証拠の取調べに当たっても,適宜,プレゼンテーションソフトが用いられま
す。 また,難しい法律用語については,平易に言い換えたり,本質的なとこ
ろから分かりやすく説明するなどします。
❖ ❖ ❖
こうした分かりやすい審理は,充実した評議を行うための不可欠の前提でも
あります。裁判員は,審理を見て,聞いて,考えたところ,感じた点を評議の
場で率直に述べ,他の裁判員や裁判官と意見を交換していくことになります。
●刑事裁判で取り調べる証拠の例●
●犯行に使用された凶器など
例えば,被害者を刺した包丁など
法廷で示されますので,これを見て,その存在自体から「包丁で刺した」
ことを認定する資料としたり,その大きさや形を「殺すつもり(殺意)があ
ったこと」を認定する資料としたりします。
●実況見分調書,検証調書
警察官が,事件現場などの状況を確認し,その結果を記録した書類
通常,現場の見取図や写真が付いており,位置関係などを確認することがで
きます。法廷で検察官が読み上げた内容が判断の資料になります。図面や写真
は,その内容を見て判断の資料にします。
●鑑定の結果
医師などの専門家による,その専門知識を用いた判断。判断に至る過程も記載
された形で,書類(鑑定書)として提出されることが多い。例えば,死体を解
剖した医師が作成した被害者の死因,死体にある傷の位置や数,深さなどに関
する鑑定書,現場に残された血液などに関するDNA型鑑定書など
鑑定書が提出された場合,検察官が法廷でその内容を読むのが通例ですが,
内容が専門的ですので,裁判員裁判では,作成した鑑定人を証人として尋問す
る際に鑑定書の内容を分かりやすく説明してもらうなどの工夫がされます。
●証人
目撃者などの証人の話を法廷で直接聞きます(証人尋問)。
証人尋問は,検察官や弁護人が証人に質問し,これに証人が答える形で進行
していきます。証人尋問では,事件の状況などのほか,目撃した位置・距離,
当時の明るさなど,証言の信用性にかかわることも質問されます。
事件を直接目撃した証人の証言などは判断の決め手になるものが少なくあり
ませんが,思いこみや勘違い,記憶の薄れなどにより誤りが混じる危険もあり
ますので,証言の信用性は,特に慎重に判断されます。
●被告人
被告人が法廷で話した内容も証拠となります。
通常,弁護人や検察官が法廷で質問をし,被告人が答える形で進行します。
事実関係が争われている事件では,被告人自身が検察官が請求した証拠と反対
の話をする場合が多く,その場合は,そのいずれが信用できるかが問題となり
ます。また,被告人が事実関係を認めている事件では,被告人が,その反省状
況等を示す話をすることがあります。
●供述調書
人が話した内容を記録した書類。例えば,参考人や被告人などが警察官や検察
官に話した内容を記録した書類など
供述調書は,検察官が法廷でその内容を読むのを聞くことになります。これ
までの刑事裁判では,大量の供述調書が証拠として採用され,法廷ではその要
旨のみが告げられ,裁判官が法廷外で内容を読み込んで判断資料とするという
のが通例でした。
しかし,裁判員に供述調書を読んでもらうわけにはいきませんし,そうかと
いって,大量の供述調書が読み上げられるのを聞くのも負担が大きくなります。
そこで,裁判員裁判では,このような証拠書類は最小限にとどめ,法廷で直接
話を聞く(証人尋問又は被告人質問)ことが中心となります。
《「裁判員制度ナビゲーション」より抜粋 》