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税務経営情報 vol.356

魚の釣り方

事業承継の時によく聞く言葉があります。それは「釣った魚をあげるのではなく、魚の釣り方を教えるほうがいい」というものです。内容としては、釣った魚(財産)を子どもにあげるより、魚の釣り方(財産の築き方)を教えるほうが、その子にとって生き抜く力を得ることができるということなのです。これは中国語では『授人以魚 不如授以漁』と言われ、「人に魚を与えると1日で食べてしまう。しかし人に釣り方を教えれば生涯食べていく事が出来る」と言う老子が言ったとされる言葉からきているようです。

色々な解釈があり、相手のためになることを教えるという意味なのでしょうが、相手が何も考えていないのにこうしたらいいんだと無理やり押し付けることは、相手から考えることを奪うことになり、結果、不測の事態になった時に何もできないことになれば、まったく意味がなくなることになります。答えがわかっている人は、すぐに答えを教えるのではなく、相手に考えさせ、答えが出ない場合はヒントを与えることで、正解に導いていく事が大事なのでしょう。要は「自ら考えて答え(結果)を出せるようになることが大事」だと思います。これは子育てでも社員教育でも同じことが言えるかと思います。

ただ、釣り方を教える必要性はあるのですが、最近は魚の釣り方を教えても実際に釣ろうとしない人、例えると人生に対するモチベーションが低い人が多く、なぜ魚を釣るのかわからないのだそうです。そんな人に魚を与えても無意味であり、ましてや釣り方を教えても無意味であり、そういう人に対してはまず必要なのは釣り竿という知識を作ることなのだそうです。魚を与えるのではなく、釣り方を教えるのでもなく、必要なのは釣り竿(知識)の作り方であり、使い方であると。

なかなか奥が深い言葉だなぁと思っている中、最近息子が春休み九州から戻ってきました。1年間コロナ禍でリモート授業のため、ろくに学校にも行けず、友達ができにくい状態でこの1年を過ごしてきたようです。時間がたっぷりあるので、料理に時間をかけていたようで料理の腕は上がっているようです。その息子が九州で釣りをしたいと言ってきました。おそらく向こうではしたいことが見つけられず、また海が近いので釣りでもしようか!というのは、少し息子が活動を始めた兆しなのかと思います。しかしなぜ釣りなのか!私自身釣り方がわかりません。ましてや釣り竿のことも全然わかりません。インターネットで検索をしてみると、海釣りといっても色々種類があるそうです。とりあえず釣具屋さんに行ってみました。すると竿だけでもいろいろあり投げ釣り、磯釣り、舟釣り等‥、それによって竿の種類が異なります。えさにしても餌釣り、疑似餌釣りがあったり、何を釣るかによって果てしない組み合わせがあるようです。

私(お父さん)は、釣り方は分かりません。釣り竿の使い方も分かりません。ただ釣ろうと思う息子の気持ちのために、釣具屋さんの店員をつかまえて、基礎の基礎から話を聞きだしました。結果「万能竿」という便利なものがあり、初心者でも扱えるものを揃えました。最後のお支払いの時、これはひょっとして「魚を与えること」と一緒なのでは?とふと頭をよぎりました。とりあえず向こうで魚を釣るなりして、楽しく生活をしてくれたらと思います。

( 岡 本 清 臣 )

マイナンバーの健康保険証利用について

※現在3月下旬に本格運用が予定されていましたが10月に延期されています。

厚生労働省HPより