税務経営情報 Vol.265
~いまどきの若い子は○○!~
よく巷で「いまどきの若い子は」というフレーズを耳にしますが、どういう時につかわれているのでしょうか?「いまどきの若い子は、礼儀がなっていない」とか、「いまどきの若い子は、辛抱がたりない」とかどちらかと言えば、自分の世代より下の世代に対して、否定的に使っているように思われます。理想の世代があって、その世代に自分たちの世代が近づいて、若しくはその理想の世代なのだと思って、それ以外の世代を認めないフレーズになるのでしょうか。今私は40歳代ですが、一つ下の30歳代にはそうは思いませんが、二つ下の20歳代にはちょっと言いたくなりますね。
さて先月税理士会を通じて、京都すばる高校の会計科の高校生をインターンシップで受け入れてほしいという依頼があり、先日高校生2名を受け入れました。京都すばる高校といえば、昔の京都府立商業高校で、高校を出て就職を希望する学生が多かったそうです。最近は名前が変わり、「会計科」、「企画科」、「ビジネス探求科」、「情報科学科」と四つの課に分かれていて、大学への進学率も高くなっているそうです。
そこの会計科の高校3年生の男の子と女の子1名ずつ受け入れました。どんな学生が来るのか楽しみで、2日間ですが税理士事務所とはどんなところかを見せないといけないのでそれなりに不安でした(私の事務所を見て、税理士事務所なんていややわと言われたらたいへんですもんね)。
いきなり本番を迎えるというのは、お互いにとって緊張することなので、事前訪問をしていただきました。まさか茶髪にピアス、短いスカート、だらしなくズボンを下ろしてパンツを見せているような格好ではないとは思いながら、いまどきの若い子だしと一抹の不安を抱えていました。
高校生なので、学校の終業式の前の午前中授業のあとに来てもらいました。たまたま私はその時間の前に外出をしていて、戻ってくるときでした。前を見ると高校生らしき二人がぶらぶら歩いているじゃありませんか!よく見ると男の子の方は、まさか後ろから見られているとはつゆ知らず、後ろのシャツがだらしなく出ていて、だらだら歩いていました。女の子の方は、短いスカートではありませんでした。事務所の近くまでくると、紙を見ながら私の事務所を確認しているではありませんか。やっぱりこの子達か!今から自分たちの意志で将来のために会計事務所に進んで体験にきたのではないのか!と心の中で不安が一気に広がりました。
すると男の子の方は、事務所の階段を上る前にシャツをズボンに入れ、ネクタイをはめて身だしなみを整え始めました。女の子の方は、もともとネクタイをはめていて、もうすでに準備万端って感じでした。
そして事務所で向かい合って話をしていたら、大学進学志望でその後税理士か公認会計士になりたいとしっかり受け答えをしていました。逆に自分の時と比べてみて、ずいぶん大人だなぁと感じました。事前訪問を終え、実際に会計事務所で色々な体験をさせているうちに、朝の集合時間はきっちり守るし、挨拶もしっかりできていて、課題もちゃんとこなしてくれました。2日間でしたが、一緒に過ごすことによって「いまどきの若い子は」という思いがなくなり、今度は勝手なもので「若い子やのに」もっと「やんちゃ」になっても良いんじゃないかと思うようになりました。今のうちにもっといろいろな体験を積んで欲しいと、親が子供を心配するような心境です。そう考えたら自分の子供とそう変わらないのですしね。「いまどきの若い子は」というにはその人を理解できない、いや理解しようとしないと出てくるのかもしれませんね。「若い人は」と突き放すのではなく、その人をもっと理解してあげることが大切だなとこのインターンシップで学ばせて頂きました。
今の今まで、自分達のことを一生懸命考えてがむしゃらに走ってきましたが、後ろを振り返ると若い子たちが育ってきているのを見て、前を向いて走っているだけではだめだなと、後ろも気にしないとけないなぁとつくづく感じました。
( 岡 本 清 臣 )