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税務経営情報 vol.272

~今年の密かな目標!~

 昨年秋ごろ流行った百田尚樹氏の著書「永遠のゼロ」を読んでみました。読まれた方もあると思いますが、本の内容は終戦後60年の節目で現代に生きる主人公が、ふとしたことで零戦乗りの実の祖父の存在を知りました。その祖父は『娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために』と言い続けていたそうだが、自ら零戦に乗り最後には命を落としたということを知りその主人公の頭の中に一つの疑問が浮かび上がりそれを調べていくというストーリーです。私自身読み出したら面白くて最後まで一気に読み切ってしまいました。しかし私の頭の中に「?」が・・。最後まで読んだのに、その時はなぞが解けなかったので気になって仕方がありませんでした。それから私も気になり調べ出しました。

 最初零戦という名前は知っていましたが、詳しいことは全然知りませんでした。読み始めた頃はこの零戦のことが気になりました。まず正式名称は、三菱零式艦上戦闘機といい正式採用となった皇紀2600年(皇紀とは、初代天皇である神武天皇が即位したとされる年を元年とする、日本の紀年法のことです、ちなみに昭和15年のことです)の末尾のゼロを付けたそうです。性能は、旋回性と宙返りの能力が優れていて戦闘において大変有利だったそうです。それに速度が速く航続距離が桁外れにあったそうです。零戦がこれらの高い性能になれたのは、堀越次郎氏と曾根嘉年氏の二人の若い設計者のおかげだそうです。ここで日本の技術が素晴らしかったことを改めて感じました。
この内容を理解するには、零戦という技術やその時の時代背景(あまりに知らなさすぎたので)も必要かと思い本を読みました。また映画も見ました。映画館で映画を見ることが久しぶりだったのですが、映画を見ながら泣いてしまいました。もし自分があの時代に生きて、零戦乗りだったらどういう行動をとったのか。人として、「九死に一生を得る」作戦なら10%の生き残る可能性がありますが、特攻という「十死零生」の生き残る可能性がゼロの作戦を言われた時にどうするのか。今なら少しでも生き残る作戦を考えるのでしょうが、その時には黙って従うしか方法はなかったのでしょう。

 その様に考えていると、当時の方は戦争に勝つことが目的で、勝つにしろ負けるにしろその先の未来をどうしていくのかという事が考えられなかったのではないでしょうか。ストーリーの中でも、祖父が生きて家族のもとに帰りたいと言っていることに対して、「あいつは臆病者だ、卑怯者だ」と言って生き残った方は、戦争が終わっているにもかかわらずいまだに心の整理ができていなくて、あれが悪いこれが悪いと言って何事に対しても否定的で未来を見ないで生きている。反対に、何としてでも生き残って戦争が終わったらあれをしたいこれをしたいと思っている方は、未来を見据えて自分が出来ることを一生懸命して生きておられた。

 あぁこういう事が言いたかったのかと自分の中でやっと理解することができました。ちなみにこれは私が感じたことであって、間違っているかもしれません。また当時のことを知る方には、戦時中にあの内容は絶対にあり得ないと言われる方がいるかもしれません。例えば2011年におこった東日本大震災で、震災後に命を絶った方は男性が多く、そのうち年金受給者の60代の方が多かったそうです。悲惨さを目の前で経験したら、未来なんて見えなくなるのかもしれません。その場で経験しないと分からないことだと思います。しかしその時に自分が起きたことに対して、しっかり現実に向き合って未来を見つめて生きていくことが大事なんだと改めて気付かされた「永遠のゼロ」でした。

 最後になぜ自分で最後に命を絶ったのかですが、この物語の祖父は、終戦ぎりぎりまで未来を見据えて生きておられたが、だんだん先に旅立った友や教え子のことが重くなってきて、いまの自分が生きていていいのかと葛藤があったのかと思います。しかし自分が戻らないと家族が路頭に迷うかもしれない、日本を立て直すことができないと思っていたら、未来のことを考える青年に出会い、その純粋で若い彼に家族や日本の未来を託すことができると考えたのだと思います。そのように考えた後その祖父は純粋な零戦乗りとなり、開戦当時は優秀だった零戦でしたが終戦間際では戦闘能力で不利な状態になっていたのですが、それは零戦の戦闘能力が他の戦闘機より劣っているのではなく、パイロットの技術が落ちているのであって、零戦はまだまだ使えるのだということを旧式の零戦で証明したのではないでしょうか。いろいろ考えさせられる内容でした。

( 岡本清臣 )

~『領収証』等に係る印紙税の非課税範囲が拡大されました~
(平成26年4月1日以降作成されるものに適用されます)

不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る税率の特例

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( 国税庁ホームページより抜粋 )